チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の動向がいま、注目されています。7月6日に90歳の誕生日を迎えるのを前に、後継者選びについて発言するとみられているためです。内容によっては、中国やインドといった大国を巻き込む対立に発展することも懸念されています。ダライ・ラマ14世はどんな人物なのか、まとめました。
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ダライ・ラマ14世とはどんな存在?
チベット仏教の最高指導者で、1935年7月にチベット東北部の村の農家に生まれた。「聡明(そうめい)な子ども」だと評判で、高僧たちに先代ダライ・ラマ13世の「生まれ変わり」とされ、40年に4歳で即位して仏教指導者としての専門教育を受けた。
オーストリアの登山家ハラー氏(故人)らから西欧式の教育を受けたこともある。その様子を記したハラー氏の著作「セブン・イヤーズ・イン・チベット」は、米俳優ブラッド・ピット主演で映画化もされた。
49年に中華人民共和国が成立すると、共産党指導部は翌年にチベットに進軍し、武力で併合。その後、チベット人の反乱が起こり、多くの死者や難民が生まれた。50年に15歳でチベットの政治上の全権限を委任されたダライ・ラマ14世は59年3月、インドのネール首相(当時)から滞在先を提供され、インドに亡命した。
インド北部ダラムサラに亡命政府を樹立し、「我々は非暴力の闘いを進める」と宣言。米国や欧州、日本などを積極的に訪問し、チベットでの人権抑圧を訴えてきた。
こうした活動から西欧社会からも尊敬を集め、89年にはノーベル平和賞も受賞した。
なぜ後継者選びが注目されている?
ダライ・ラマは観音菩薩(ぼ…